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音楽業界もラウドネスの時代へ

当スタジオでは近年はテレビ番組のMA仕事も増えてきました。

音楽業界と映像業界での求められるラウドネス値はかなり異なりますので、自ずとMIXやMA作業方法も異なっていきます。

テレビ放送などの標準ラウドネス値は-24LKFSで、音楽業界で良しとされるMIXされた音量では大幅に基準を超えてしまいます。

そもそも音楽業界では一昔前までは音圧をピークのギリギリまであげるマスタリング工程が流行っていて、どの音楽を聴いてもマキシマイザーなどを使用した限界ギリギリの音圧の曲が渦巻いていました。

最近は音楽もCDから配信の時代へと進み、音圧レベル重視だった基準がラウドネス値へと移行しSpotifyや YouTubeで-15LKFS、Apple Musicで-16LKFSと世界基準で統一されてきています。(それでもまだ映像業界とのラウドネス値の差は大きいですが)
それらのラウドネス値を超えるとラウドネスノーマライゼーション(自動的に音量を下げられちゃう機能)が適用されてしまうため、もはやそれぞれの配信専用のプラットフォームに合わせたMIX、マスタリングが必要な時代となっています。
最近は音楽業界でもこれらのラウドネス値を理解し対応できるエンジニアさんも多少増えてきましたが、今だに音圧がっつりの昔ながらのMIXエンジニアさんも多く、音楽系スタジオでラウドネスの概念がきちんと浸透するにはもう少し時間がかかりそうです。

次回は、そもそもラウドネス値とは何ぞや?
を簡単に説明したく思います。

下田義浩